観光地の宿泊者を集めるには?
ネット利用は必須でもホームページだけでは足りない
観光地の温泉や旅館をはじめ、風情があり、日本文化を楽しむことができる日本の和風の観光名所は外国人観光客からも人気です。
コロナ禍でインバウンド需要は一気に止まり国内需要だけでなんとかしなければならない状況となってます。本来であればオリンピックも追い風となり日本の観光産業は右肩上がりになっていたことでしょう。
小規模な旅館も含め、多くの旅館が自前のホームページをはじめ、OTA(楽天トラベルやYahooなどのトラベルオンライントラベルエージェント)をはじめ、InstagramなどSNSを通じた情報発信を行っているのではないでしょうか。
もっとも、旅館の場合、効果的に集客を図るにはホームページやSNSだけでは足りず、トラベルサイトの利用も不可欠になっています。
しかも、観光産業においてはトラベルサイトも多様化しており、1つではなく、人気のあるあらゆるサイトに掲載を行うのが、予約を得るための基本戦略と化しています。
JTBや日本旅行など旅行会社のサイトに、るるぶやじゃらんなどの旅行雑誌系のサイト、楽天トラベルやヤフートラベルなどのECモール系のサイト、さらに航空機や新幹線でのアクセスが基本となる地域にある旅館ではANAやJAL、JRなどの旅行サイトにも登録されることでしょう。
世界からの旅行者の予約を得るためには、エクスペディアなどの利用も外せません。
サイトごとにユーザー層も異なっている場合やキャンペーンなどの実施状況や特性なども異なります。
ファミリー層が多い、シニア世代の利用が多い、若者ユーザーが多い、ビジネス出張客の利用も多い、富裕層が多い、格安やお得を求める方が多いなど、サイトの特徴に合わせて、同じ客室や設備なのにプランを変えることや料金を変えるなどしなくてはなりません。
同じエリアで競合するほかの旅館やホテル、民宿などのプラン内容やサービス内容、料金設定などの動きをチェックしながら、戦略を練る必要があり、手間もかかります。
さらには自社ホームページのプランから、トラベルサイト各社のプラン料金を比較して最安値を提示するエアトリのような比較サイトも登場しています。
同業他社だけでなく、自前のプランまでユーザーの比較にさらされる時代となりました。
高いコストと口コミの威力
サイトごとに利用料もかかります。
登録料や掲載料と予約が入った際の手数料といったサイトや月額固定費プラス成果報酬制のところなどさまざまです。
検索のトップに表示させるためにオプション料を取る場合や月額固定費が高いプランを選ぶ必要が生じるケースも少なくありません。
複数のサイトに登録することでランニングコストも、どんどんかさみます。
同じ客室にダブルブッキングがないように在庫管理もしなくてはなりません。
さらにサイトごとに予約の成立の仕方やキャンセルの方法も異なります。
事前のキャンセルが比較的しやすいサイトの場合、直前に発生したキャンセルを穴埋めするべく、ほかのサイトで前日予約プランや当日予約の割引プランなどを使って客を呼び込む必要も生じます。
複数サイトに登録すれば、知名度が高まる場合や予約が入りやすくなるとも限りません。
実際に宿泊してもらい、口コミを増やしていかないと選ばれないためです。
低評価の口コミが多いのも困りものですが、それよりも集客に影響を及ぼすのは口コミの数が少ないことです。
まったく口コミがなければ、検索されても対象外にされてしまうことが少なくありません。
口コミを増やすには、まずは予約数を増やす必要があるため、大きな旅館ならテレビCMを製作したり、小さな旅館でも赤字覚悟で豪華な料理のプランを作りだしたりと、余計なコストを払っているのが現状です。
逆に、地域に人気のレストランがある場所やグルメスポットとして人気の観光地では、自由に食事を楽しみたいという近年の旅行者の傾向に合わせ、料理自慢の宿なのに素泊まりプランを提供するなど、旅館の醍醐味や根幹まで揺るがす事態となっているのです。
厳しい時代にコストを抑えるコツ
各旅館のターゲット層に合わせて、登録するサイトを絞り込めれば良いですが、思わぬ層が予約を入れてくれるという期待もあって、複数サイトに登録してしまうケースは少なくありません。
また、どのサイトも有名どころが多いため、1つでも登録がないと、実力がない旅館に思われかねないと複数サイトに登録をする旅館も多いことでしょう。
まずは試しに多彩なサイトに登録するのも良いですが、数ヶ月から1年程度運用してみて、予約が少ないサイトや口コミが思うように集まらず成果が出ないサイトからは退会し、成果が出るサイトに絞り込んでいく戦略もありではないでしょうか。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で、訪日外国人によるインバウンド需要は見込めなくなり、国内旅行者も感染拡大防止のための移動制限や自粛ムードで売上が激減している時代です。
宣伝広告費用を抑えたうえで、感染予防対策に投資し、安心して泊まれる旅館ということをホームページやSNS、取捨選択して絞り込んだトラベルサイトでPRしていくのが得策ではないでしょうか。